エルゴノミクスと包丁のバランス
「この包丁とあの包丁、何が違うの?」 キッチンで同じ用途に使える包丁を選ぶとき、誰もが抱く疑問です。特に初めて包丁を購入する方にとっては、2本の包丁がほぼ同じに見えることもあるでしょう。何が違うのかが分からなければ、比較するのは正直難しいものです。もしあなたがそう感じているなら、この記事が包丁を比較する上で非常に重要なポイント、すなわち「バランス」について紹介できればと思います。 料理での私の経験 私は自宅で黒﨑の牛刀を1年半以上使用しており、野菜の千切りやみじん切りから、肉の塊のトリミングや切り分け、鶏肉の解体、魚の三枚おろしまで、あらゆる用途で使ってきました。素晴らしい万能包丁で、今でもほとんどの調理作業で最初に手に取る包丁です。 左:私の黒﨑牛刀(2018年4月)、右:黒﨑で三枚おろしにした鮭一尾 しかし最近、週末に試すために田中牛刀を自宅に持ち帰りました。限られた時間を最大限に活用するため、日曜の朝にキムチを作ることにしました。キムチ作りは、人参、大根、玉ねぎ、長ネギなどの野菜を切り、かなりの量のにんにくを使って辛味ペーストを作るという手間のかかる作業です。そのため、この試みは、長時間の下ごしらえ作業における田中包丁の機能性と快適性を試す絶好の機会となりました。 自宅で試した田中牛刀 同じくらいの時間、黒﨑を使用した際には、小指の付け根あたりの手のひらが疲れていることに気づきました。一方で、田中は全く疲れを感じさせずにすべての野菜を処理してくれたのです。不思議なことに、田中は黒﨑よりも手に持った感じが軽く感じられましたが、その理由ははっきりとは分かりませんでした。KSのショールームに戻り、その違いを調査することにしました。 比較には、テスト用に自宅へ持ち帰った田中銀三鋼 240mm 牛刀と、ショールームに展示されていた黒﨑 R2 240mm 牛刀を使用しました。 包丁の重量を量る まず、田中が黒﨑よりも物理的に軽いのかどうかを確認する必要がありました。2本の包丁の重量を量ったところ、田中は185g、黒﨑は実際には184gと、黒﨑の方が軽いことが分かりました。つまり、田中が軽く感じられたのは物理的な重さによるものではなく、人間工学と包丁のバランスによるものであることが確認できました。 左:185gの田中、右:184gの黒﨑 人間工学 人間工学とは、製品の快適性と使いやすさを保証する設計の質に関するものです。包丁においては、握ったときの快適さが含まれ、その主要な要素の一つがバランスです。これには、包丁のバランス軸の位置と、握り方によって生じる支点という2つの要素が関わってきます。 バランス軸 バランス軸とは、包丁を高さのある縁の上に置いたときに、傾くことなく完全に水平を保つことができる線のことです。バランス軸が刃先に近いほど、その包丁は刃先重心になります。また、和柄のペティナイフのように、場合によっては柄重心になることもあります。 次に2本の包丁を詳しく調べ、それぞれのバランス軸を、縁の上で水平にバランスが取れる位置を調整して見つけました。その結果は明確でした。黒﨑のバランス軸はかなり刃先寄りにあり、一方、田中のバランス軸は刃元にかなり近い位置にありました。...
James Zhang |
